2007年12月19日

奈良俳句集


  
  
陵(みささぎ)の駅近くあり春の暮 

橘の実なる下に写生かな

白と黄の金雀枝映ゆる都跡

寄り合いて春の日差しに奈良の鹿

守られつ奈良の鹿臥す花の影

奈良町や柳しだれて暮の鐘

奈良町や雲に滲みて月光る

一品の抹茶茶碗や夕桜

鐘鳴りて旅人帰る夕桜

塔古りて奈良去りゆくや夕桜

  法隆寺  

春の日や鳩むつみあう法隆寺

夢殿に太子休らふ花の影

築地塀に一日写しぬ花の影

夢殿や花散る後の余韻かな

日も暮れぬ芒に塔や法隆寺

   秋

千歳古る大仏黒き秋の暮

晩秋や奈良には古き壺二つ

千歳古る大仏黒き秋の暮

橿原の市や家々菊の花

朝静か藤原京跡秋の蝶

奈良の秋出会町に出会橋

山鳩の鳴いて落葉の文殊院

枕元菊さし迎えし奈良の宿

三重塔二つ巡るや秋桜

柿なりて奈良の街道旅の人

奈良に古る大和棟の家柿なりぬ

バスとまる五軒屋とあり秋日和

奈良の人と交わり過ごすや秋日和 

稲刈られ五軒屋あわれ旅の道

旅路来て着物の女性や奈良の月

壺古りて着物の女性奈良の月

奈良の路地交じり出会うや秋の蝶

夜のふけて時雨の音や奈良の宿

韓藍に菊の畑や奈良の道

秋日和猫の眠れる奈良の駅

西の京なお散り積もる木の葉かな

秋日さす古りし跡見橋渡りけり

皇子悲し黄菊白菊二上山

  冬

奈良公園親子の鹿やひなたぼこ

奈良の古道に舞うや冬の蝶

三輪山に人を入れぬと冬日暮る

千歳経し寧楽の都や冬牡丹

農家古り崩れし塀や冬の蝶
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Posted by 鏡音桜 at 2010年10月06日 21:06
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