2012年01月02日

変わらない三本の樹 (変化を求める時代の終わり)


変わらない三本の樹

(変化を求める時代の終わり)


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三本の樹の変わらずに年明けぬ

三本の樹の忠節や年明けぬ


五輪塔向きを変えずに年明けぬ


故郷に死者のいまして年明けぬ


新年に夕日のさして故郷のなれにし道を我が帰り来ぬ


新年や津波の跡やなお一つ船の残りてこの道をゆく



公園に同じ様に樹が三本立っている。それは変わることがない、その変わらないことが今や一つの願いとなっている。実際この辺では変わりすぎてしまった。ここに留まるべき人が去り故郷に住めなくなった人も多数いる。変わらないということ残るということが課題となっている。50以上とかはなかなか変われないだろう。普通は一定の立場もできあがっているだろう。人間はなれ親しんだところがいいとなる。人それぞれだから一様ではないにしろ一般的にはそうである。奇妙なことはこの辺では変わらないこと同じ所にありつづけることが深刻なテ-マとなっているのだ。津波の被害にあったところでもやはりもうここには住めないと移る人もでている。あれだけの被害があると海は恐怖である。自分では被害にあわなくても海は怖いとなる。そういう恐怖心はなかなかぬけない、被害にあった人はなおさらである。被害の跡を見れば本当に荒寥としているからだ。そこは住めないしすべてが変わってしまったのである。


なぜ江戸時代なのかとなるとそこは今のようにめまぐるしく変わらない社会だったからである。もちろんすべて理想の社会とかではない、ドイツでも黒い森というところで鳩時計とか作っている職人がいて百年前の時計を直しているというから驚きである。一つ一つ手作りであり百年前のものでも直せるという。手作りでありそれは江戸時代の職人と同じである。そういう長い時間で変わらないからできる。もう現代のように大量生産でもの作りもめまぐるしく変わればできない、人間はやはり長い時間をかけないと信頼とかモラルとかいろいろな基本的なものが構築できないだろう。今や家さえそうした長い時間で築かれた感覚が消えている。家など古いとかなんとかなるしそういうことではなく家は少なくても二代つづくからそこで育まれものがありそこがアイディンティティの基本であるということで書いた。


今や会社でも派遣とかなると臨時であり時給であり手間賃かせぎである。jobでありwork(作品)でもない、そういう短い時間の中では果たして労働倫理など育まれるだろうか?せいぜい一年とかでやめるとか何か月かでやめるとか金をもらってあとは終わりであり関係なとなる。だから金持ちの家に勤めるにしても金を盗ってあとは関係ないと極端化する。それがもし10年勤めるとかなれば全然違ったものとなる。そこに何か互いに心も通じ合うものがでてくるし単なる金の関係ではないものが生まれてくる。そうでなければ親子一世、夫婦は二世、主従は三世とかなるはずがない、主従の関係が親や夫婦の関係より強く長くなるはずがないのだ。主従の関係も親子何代とかの長い時間の中で培われたのである。現代のような会社とか仕事の関係でも余りにも短すぎる。そういう短い関係ではただ人間は即物的になってしまうだろう。そこでモノを得ればいい、金を得ればいいとしかならない。ただモノを媒介するだけの関係になってしまうだろう。現実に社会がなっている。明治維新後社会が変わりすぎたのである。だから江戸時代にもどるというとき日本人がもともとあったものアイディンティティを取り戻すということなのである。


ともかくこの辺はそうした長く住み続けてきた基盤そのものが失われた。そういう基盤が回復しなければどうにもならない、長い時間というとき家とかには先祖が必ずいてその死んだ先祖とともにある。その市町村でもそうである。死者も生者と継続して存続している。そういう場が故郷なのだろう。それで墓が残っているから死者の拠り所となる。五輪塔なども墓に残っているだけで重みがあり相馬藩の歴史をふりかかることになる。土地から切り離されたらそういう昔をふりかえるということが土地からできなくなる。歴史はどこでもそれなりに長い継続がある。それが断たれることは人間の存在感を軽薄にする。江戸時代など関係ないとかなると今だけがすべてになってしまう。そういう点が今見直すべきなのである。


ともかく三本の樹は忠節を示している。三本でも信頼すべきものがあれば安定する。それすらないということが問題なのである。

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