巨龍は千年海底深く眠っていた(大津波の詩)
巨龍は大海深く眠っていた
その間に人はせせこましく
その上で暮らしていた
巨龍はそれらを知らず無視していた
海岸近くを田にして米を作り
松原を作り調和した美を作り出していた
でもそこはもともと海だった
人は人口が増えたためやむなく
そういう適地でない所に田を作りはじめた
それも千年巨龍は無視して眠っていた
そして田だけではない
人間は電気を発明して文明を作った
夜も皓々と電気の灯は地上を昼のようにしている
一千万の大都会の灯は宇宙からも見える
そのエネルギ-は莫大なものだった
その電気は危険な原子力から作られていた
そして遂に巨龍は千年の眠りから突然目覚めた
大津波は千年間に築いた人の暮らしの場に襲いかかった
一瞬にして海であった原始の状態に戻した
何万人の命は津波に一気にのまれた
その時海岸に電気の元の原子力発電所があった
そこが地震津波にやられ爆発して故障した
危険な放射性物質はまきちらされた
大都会の燎原のような電気の灯は
まるで一吹きで消され元の暗い闇に帰った
大地は沈下して陸はずれて動いた
その凄まじいエネルギ-に驚嘆するばかりだった
人間の力は小さい、文明も簡単に滅ぼされる
自然の神の力のとてつもない巨大さを見せつけられた
千年また巨龍は海底深く眠ってしまうのか
元禄と安政の津波を警告する碑は隅に忘れられていた
四五百年の時間がたてば忘れてしまうものなのか?
いつも人は目先のことで四苦八苦するだけである
人間がいくら科学者が合議しようが
自然の力には知恵にはかなわない
科学者よ、原子力の核など弄ぶな
神の力ははるかに人間の知恵を凌駕する
計り知れぬ宇宙、底知れぬ海、底知れぬ大地・・・
神は人智を越えてなおそこに住む
世界は決して人間の知と技で解明されない
故に神を畏れねばならない・・・
神は人間の奢りをたやすく打ち砕く
科学者の奢りも簡単に打ち砕く
今回の津波以上のものが襲いかかる
文明はそれで簡単に滅びるのだ
文明はアトランティスのように海の底に沈み
宇宙の伝説として語られる
この大津波により神話と伝説が復活した
自然のスケ-ル、神の力のいかに偉大なるか
非情の神を呪うとともに賛嘆する
文明は人の奢りの故の産物
そんなものは簡単になみすることができる
人よ、神を畏れつつましく暮らすが良い
文明は神の世界を地上を汚しすぎた
一挙に洗い流す大津波が大都会を襲う
恐るべき力を知るべしなり
再び原初の世界に戻す神の力を知るべし