2007年06月07日

郷土史研究で誰でもできること(家系の調査)


郷土史研究で誰でもできること(家系の調査)

 

┌長女(病死)
├次女(餓死)
├長男(徴兵→消息不明)
├三女(病死)
├次男(結核)
├四女(病死)
├五女(行方知れず)
└六女(母の母の母→母の母→母→俺)

 
郷土史研究で一番入りやすいのが自分の家の歴史である。これはある東北人の家系のことである。餓死した人までいたことは驚きである。徴兵があり病死がありその中に必ず結核で死んでいる人がいるのが普通だし若くして死んでいる人が多い。それから子供のうちに幼くして死んでいる人も多い。それで大正生まれの女性はその子供を今も思い出し涙流して偲んだりしている。母の思いはそれだけ強いのである。昔は自然の法則に従い子だくさんだから半分くらい子供は幼くして死んだり若くして病死している。墓碑をみると一才くらいで死んだ子供の名が記されているからわかるのだ。豊かな現代からする信じられない悲惨な歴史が普通だったのである。

間引きは裕福な農民の方が事例が多く見られる
これは、多産になりすぎて土地相続が細分化されすぎるのを防ぐのが主目的

 
間引きというと貧乏でやむをえないというのが常識だが土地相続と関係していたというのは知らなかった。でもこれは現代でも兄弟で均等で土地まで分けると農業を継ぐこともできなくなる。土地が売られたら細分化されたら農業ができないからだ。これでもわかるように今問題になっていることは必ず過去にもあった。多産が原因だったことは察しがつく。だから兄弟は平等の権利があるという一見新しい思想も実はかえって不平等になってもいるのだ。権利がどこにあるかは歴史的なもので判断されることが大きな意味をもっていることがある。理由はなかなかわからないにしても長子権は世界中であり長子は特別なものとして優遇されたのは世界の歴史であり慣習である。民主主義という新しい思想が入ってもそれを理解することは血肉とすることは簡単にできないのである。
 

我が家は四男六女の十人兄弟姉妹。 母はいつもこぼしていた。 「あと二人産めば 『軍国の母』と呼ばれ、 国から奨励されたものを」 と。 男兄弟は全員亡くなり、 義姉が死んだことで我が家の家系は私ひとりとなった。 私が死ねば、 我が家は滅亡することになる。
http://www.tamagawa-np.co.jp/machinohi/01.html


これでわかることは子供たくさん生むことが奨励されたのは−『軍国の母』と呼ばれことだった。それが誇りとされたのだ。子供は兵隊として国に捧げることが良しとされた風潮である。まさにスパルタ国家と同じかもしれない、スパルタは弱者は切り捨てられ戦う兵士として国家で育てたからである。
 
我が家の祖先は郷原鉄介氏の祖先の三男にして、郷之原下部落の西に分家され、代々只一子ありて此を継続して来れり。一代目納右ヱ門は六、七人の子ありしも一番末子生ありたるのみで他は全部死去されしと。されど末子金之助も病體にして27歳の時、わずか2歳の子(南太郎)を見捨てながらついにこの世を去られしと傅え聞く。
http://www.geocities.jp/gcdxn039/simei.html
 
このうよに非常に幼くして死ぬもの若くして死ぬものが多いのである。人は生きたくても生きられず死ぬ人が多かった。出産も安全であり飢えがなく病気も治療ができこれだけ長生きできる時代はなかったのである。コケシは子消し(間引き)だとするとコケシには子を思う母の切ない思いがあったとなるとそこに深い悲劇性がこめられていることになる。介護でも実際は貧乏なので家族で放置して死んでいったらしい。今のような至れり尽くせりの介護などはなかったし病院で植物人間までして生かしていることは考えられない世界だったのだ。トイレに自力で行けないとか食事ができないという時点で放置され死んでいったのである。だから介護問題はなかったのである。姥捨山に捨てるまでもなく家のなかでそういう状態だったのである。
 
ともかく各自家系を調べればそれが歴史であり一番身近に感じられるから郷土史研究にはいいテ−マなのである。特に古い家系の人はより歴史に興味をもつことになるからいいのである。

 
生きんとして生きられざるものその霊の靄のかかりて墓所に漂う
posted by 天華 at 10:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史(相馬郷土史など)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/4278212
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック