
我が墓の隣は誰そ無縁墓知らざりしかな春の雨ふる
人間はもっとも身近なことに気づいていない!自分の家の墓の前を毎日通っていてもその隣に小さな粗末な石の墓があったことに気づかなかった。いやただ注意していなかっただけなのだ。毎日この前を通っていても気づかなかった。注意しなかったのだ。人間はもっとも身近なものに気づいていない、無関心なのだ。かえって遠い外国のようなところに注意が向いている。その足元は注意していない、自分も絶えず旅していたから関心は外へ外へ向いていた。このうよな小さな町に何かみるべきものがあるとは思えなかった。実際田舎には住みたくなかったから外へ外へと出ようとしたのだ。たいがい若いときはみんなそうである。外へ外へ遠くへ遠くへと心は向いて肝心の足元は興味がないし注意もしない、魅力を感じないのである。
この無縁墓は誰かが花をささげているとか言っているからまだ縁あるものがいるのかもしれない、この墓が誰なのかわからないにしろ人間の無情を語っているのだ。この人がどのような人生を生きたのか忘れられる・・・無縁墓は無数にある・・・それらはすべてこの世の無情を語っているのだ。
明日写真をとってのせる・・・