2009年05月11日

雀が持っているもの

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雀が持っているもの

 

雀はちょこちょこ塀を歩み顔を出す

そこに白椿が咲いている

そのあどけない顔がなごみとなる

雀はなにもまとわないし何ももってこない

すずめはただあどけなさをもってくる

雀は光の金の衣をまとい

あとは何も身につけない

野原にはタンポポが一面にまばゆい

その野の絨毯の上でまろび遊ぶ

寒さをしのぎ春がやってきたから

雀は寒いときも何も身につけない

ひゅ-ひゅ-と風が吹きつけても雪がふっても

雀は毎日少しの食べ物で満足

それは神の御意により与えられるのだろう

雀は謙虚であり威張らない

いつもペコンとお辞儀する

雀は庶民であり貴族ではない

雀同士で仲がいい庶民である

人間はあまりに多くのものをもちすぎた

何百万の着物は着ることなく捨てられた

死んであの世に持ってゆくこともできなかった

雀はあれもこれも欲しいとやってこない

ただ今日一日の少しの食べ物がほしいだけ

雀は道端で死んでいた

誰もふりかえるものなく死んでいた

でも雀は神の掌(てのひら)で安らかに眠っている

雀は人間のように様々な欲にふりまわされることがなかった

だから今は神の掌で幼子のように安らかに眠っている

 
posted by 天華 at 21:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 詩全般
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