
本丸を四方に望み花の昼
春暑し本丸上る人の波
夕日さし松に桜や霞城
春の山かなたは相馬洗心亭
城の内日影の井戸や落椿
安達太良の連なる山々春の夕
夕風に落椿あまた城の内
霞城松に桜に夕日かな
三三五五花見絶えじや夕日かな
十万石城に映えにし桜かな
小浜城訪ぬ人あれ夕桜
二本松相馬を結ぶ道ありて城に桜や春日入るかな
津島より二本松への道のり遠しバスに揺られて春の日行きぬ
合戦の枝垂桜や阿武隈の山中深く古りにけるかな
夕風に城の桜の騒ぐとも松は静かに白壁に映ゆ
春うらら二本松は遠くともその道のりに桜咲きつぐ
二本松へ桜咲きつぐ道のりやバスに揺られて遅くともよし
満開の桜に映えゆ百輪の椿は風にゆすらる夕べ
本丸の石垣の反り厳しかな春の陽眩し安達太良に没る
本丸に我が上りつつ安達太良をまじかに仰ぎ春の日の没る
夕風に桜騒ぎて二本松少年隊の急ぎ散るかな
(小浜城)
小浜城興亡ありて埋もるかな過ぎゆくしばし春の夕暮
二本松田村相馬とせめぎ合う小浜城跡春日入るかな
小浜城政宗ここに一時を城主とあれや桜咲き散る
小浜城戦乱の日々あわれかな変わる城主や花咲き散りぬ
二本松までの道のりは長かった。一時間半以上かかった。くねくねした山の道を行き、桜がどこまでも咲いていた。もっとゆっくりでも良かった。バイクとかでもただ飛ばすだけである。ゆっくりと見る時間が必要である。でも今の時代バスは遅いのだろう。バスはすでにスピ-ド時代にあわなくなっている。もしかしたら津島からのバスもなくなるのかもしれない、あそこも四五人だけではやっていけないだろう。二本松に着いたのは三時過ぎだった。まもなく夕暮れになった。安達太良山という山はない、安達太良連峰であり一つ一つの山の連なりを安達太良なのである。安達太良を背景にして二本松の城は映える。やはり桜の時期が一番映える。途中の小浜城も城であり若い政宗がここの城主となった。田村や相馬や会津まで加わりせめぎ合いの場となった。最後は会津の蒲生氏郷が治めたという、この城をめぐって興亡があった。今回の二本松は夕べになり風が吹き満開の桜をゆすった。桜は咲いたら散っている。静心なく花の散るらむ・・である。静に咲いている暇がないのが桜なのだ。そのように急ぎ散ったのが二本松少年隊であり戦争で死んだ学徒とか特攻隊であった。やはり゛桜は日本を象徴する花である。写真はいいのがとれなかった。前にとったのでいいのがあった。自分でもこれをどこからとったのか覚えていない、でも構図としては決まっている。こういうふうに一部ではない全体をとる写真はむずかしい。去年きたときはすでに桜は散っていた。桜は散る時もまたいいからう一回行ってもいい、二本松の桜はやはり福島県では一番いいような気がする。
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