2008年09月29日

認知症は死んで尊厳が回復した (高齢化社会の生きる目的はボケないこと)


認知症は死んで尊厳が回復した
(高齢化社会の生きる目的はボケないこと)


●高齢化社会の生きる目的はボケないこと
 
認知症の尊厳とか尊厳死とかキ-ワ-ドできている人がいる。認知症にはそもそも人間の普通の尊厳が極端に失われることであり認知症になった時点でその人の尊厳は消失する。社会的な脱落者であり知的障害者であり偏見、差別の対象ともなる。認知症になることは人間失格の烙印を押されることでありこれは相当な恐怖である。だから認知症にだけはなりたくないボケたくないと思いつづけていた学者がそのストレスで認知症になったという笑いない話もでてくる。認知症になることはそれまでの功績がいくらあっても人生の失敗者、脱落者の烙印を押されることなのだ。別に特別の功績ある人でなくても普通の人でも普通でありえないことに大きな差になる。お悔やみに供養に来た近くの老人を見ていたらそれらの人は特別優れた人ではない、それでもその人たちの顔はボケていないし普通なのである。そのことがその当たり前のことが何か特別なこと特別優れた人のように見えたのである。85以上の人が多く足は弱っている体は弱っていても頭は正常である。極端な話、八五才以上になってボケない人はそれだけで人生の成功者であるというのは本当である。何も功績がなくてもボケないというだけで成功者なのである。ボケた人はどんなにそれまで成功者であっても失敗者、脱落者とされてしまうのだ。ということは人生の目的は長寿社会の生きる目的は価値観は変わってくる。85以上も生きるとなるとボケず生きて死ぬということが最大の生きる目的であり生きる価値観にすらなってしまうのだ。それだけで相当な意義あることである。なぜならボケほど悲惨なことはないからだ。
 
●死んで認知症の人の尊厳は回復する
 
家族で認知症の人をかかえたらろくなことはない、偏見、差別であり危険視されたり長年交際あった人もよりつかなくなるし家庭では地獄の苦しみを味わう、何よりも社会の人生の脱落者になってしまうことが辛いのである。認知症になったら尊厳は根こそぎ失われる。人間失格者になるという恐怖なのである。認知症の人はこれまで立派に生きたとか頭がよかったとか功績があったとか社会につくしたとか家族に尽くしたとか普通の人より立派な人も多い、でもそういう人が認知症になったらその功績も無になる危険性があった。ボケることは人間失格者になることだからだ。でもこれも一旦死ぬと違ってきた。死者は誰でも敬い畏れられるものとなる。もはや認知症という病気は消えて病気の前の人に戻ったとか言うようになる。そしてお悔やみに供養にきた人が「立派な人だった、頭が良い人だった・・」とか賛辞の言葉を述べて帰って行った。さらには今までボケたからとよりつかなくなった人も死んだ時は畏れお悔やみに供養に来るということがある。その人は冷たくした人であったがそのことを後悔する。たいがい家族でも認知症になった人でも死ぬともっといい介護をしていれば良かったと後悔するのが常である。介護でも辛かったのだが死ぬともっと優しくしていればよかったとかもっといい介護をしていれば良かったとか悔やむことになる。なぜなら死ぬともう二度と会いないからである。そのこととあいまって死者に対して自責の年が強くでてくるのである。
 
●介護問題は死後まで尾をひく
 
だから認知症の人にとって家族にとって死はすべて悪いものではなかった。認知症の家族を社会からも偏見、差別の目で見られるからである。認知症の家族も尊厳を失うのである。それぞれの家に立派な人がいるとなれば社会の見方も違うがボケをだしとなるとその家族の評価も下がるからだ。冗談になるかもしれないが「オマエラはずいぶん馬鹿にしたりうとんじたが今度はそうはいかないぞ、死者を敬い、そうでないと祟りがある畏れ多い存在だぞ」とか言えるのも奇妙である。認知症の人でも死者になれば最後の一時期ボケて人間失格者となってもそれまでは普通でありまた優れた人であり功績もあったのだから最後にボケたとしても人生全体で考える時それらの功績を全部失うわけではなかったのである。だからこそ生きている時認知症の人と接するのはむずかしいのだ。ボケたと言ってもこれまではそうでなかった、いろいろ家族のために尽くした人でもあるしそこで粗末に扱いないからだ。その尊厳は死んで回復する。みなその時自責の念がでてくる。つまり認知症という病気にどう対処していいか接していいかこれは死後までの問題としてあるしまた普通の介護でも死後まで問題になるからわずかしいのである。
 
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