北海道の大地に埋もれし者(詩)(猪狩満直など)
無念の声が
北海道の厳しい
大地に埋もれぬ
その分厚い雪の下に
無念の声が埋もれる
開墾に敗れし者
その無念の声が
冬の過酷な大地に
閉ざされ埋もれぬ
雪はふぶき非情
しかしそこに挑みし者は
無益ならざれ
北海道の大地の実り
その実りを味わう者は
また悲痛なる無念の
大地に埋もれし声を聞くべし
その大地に蕗の薹
力強く芽吹きぬ
北海道の大地の春は輝きぬ
悲痛に埋もれし者も
その命の芽吹き見る
死者の願いはそこにかないぬ
そこに死者は輪を作り立ち上がる
力強いその群像を見る
死者はそこにありて
その大地と共に生きつづける
北海道の魅力はやはり北海道は広くても一つの国として見る,本州だと一部をみていても北海道のように全体を見れない,福島県だって広いから会津は別な国であり一つの県として見れないのである。そこでなかなか福島県の詩とか作りにくいのである。
北海道はあれだけ広いの一つの国のように見ている
榎本たけようの蝦夷共和国というのは何か地理的なものとしてそうなったのである。
江戸幕府が敗れても北海道に新天地を見いだそうとしたのである。
北海道に入れば空気まで違う,苫小牧に船で上陸したとき必ずその空気が違ってるのだ
澄んでいるのであるそこに野の花々が咲いている
そういう原始性が残っているから違っている
本州だとどうしても町とか市とかに出る,どこまでも広がる大地とか草原とかそういうものは本州にはない,だからそこで心まで解放された気分になる
ただそこで生活するとなると過酷である。自分など体力がないから耐えられないとなる
北海道開墾はそこで敗れた者も相当に多い,猪狩満直もその一人であり他に大勢いるのである。
彼らは北海道の実りを享受できなかった,しかしその後の人はその実りを享受する
それがまた人間の歴史だったのである。
何らかの犠牲の上に次の時代も築かれるとなる
戦争の犠牲の後に日本の高度成長があったのもそうである。
何にもない焼け野原から良く高度成長になったのは驚嘆すべきである。
でもそれは中国でも20年くらいで同じように起きていたのである。
だからそれは世界的なものであり日本だけのものではない
何かそういう力が日本に働いて高度成長になったのである。
北海道は明治になりフロンティアになった,そこから日本の新生が始まったのである。
もし北海道がなかったら日本は失業した武士などの受け入れる場がなかった
アイヌはいたにしろ手つかずの未開の地が開けていたのである。
ただ北海道で犠牲になった人達も多い,それだけ厳しい大地だったのである。
おらは反抗する
あくまで敵對する
まつ白な雪の中で
零下の寒氣の中で
このまま目をつむれるもんか
おら おららは
猪狩満直「移住民」
これはこの詩人だけではない,北海道の開墾に敗れたものは大勢いる
それらの人達の代表としてこういう人がいて詩に残したのである。