久しくも陸前高田広田湾行かざりしかな冬の日暮れぬ
地図で見るとここに姉歯橋とあった。ここを通った記憶はないが自転車で陸前高田のこの湾の前の宿に泊まったのである。この湾はほぼ円形の美しい穏やかな湾だった。この湾は印象的で覚えていた。砂浜にはめずらしく松林が整然としてあり青松白砂の風景が残っていた。そこに姉歯橋とあったのだ。その古歌が残っていた。
“朽ちぬらん 姉歯の橋も あさなあさな 浦かぜ吹きて 寒き浜辺に”(能因)
これはすぐ近くが海だから頼りない橋がかかっていて朽ちようとしていたのだ。あそこの風景は湾は印象に残りやすい風景である。例えば「みちのくの真野の草原遠けれど面影にして見ゆというものを(笠女郎)」という歌の謎は笠女郎(かさのいらつめ)は間違いなくみちのくには来ていないのにどうしてそこを面影にまで見るようになるものなのか?その謎が解けないのだ。草原は地名であり入江の意味があるとしたら一度その入江を湾をこのように自分の眼で見れば明確に思い出すが一度も行ったことがない場所を思い出す面影にまで見るという不思議があるのだ。想像力の豊かな人は賢治のように北上川の河畔をイギリス海岸などと名付けたからイギリスの海岸が想像で見えたのかもしれない、ともかく陸前高田は広田湾が印象に残る場所だった。
姉歯の姓の由来-この姓が話題なので書いた
http://www.musubu.jp/somagappeijiji.htm#ane
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