水の力(詩)
シーパアーとランドパワー
絶えず生々流動する水
万年雪の氷河の峰より滴る水
その水源から川の物語がはじまる
遠大な流れの物語がはじまる
谷間を流れ碧い淀みをなし
その深みにひそむものは何か
神秘の色に静まりぬその川の上
しかし水はまたやむことなくて流れる
その巌の間を激流となり轟く
激しく磐を打ちひびき流れる
青春の暗き激情か奔騰する流れ
遂に滝となり山々に轟きわたる
やがて平野に河は流れ下り
大地を潤し恵みを与える
ナイルは豊かな恵みを与える
三千年の文明の栄をもたらしぬ
そして大河は街と街を結ぶ道となる
物資は運ばれ人々は結ばれる
かくて大河は穏やかに河口になり
老いの安らぎがそこにもたらす
しかし河は終わるも水のドラマは終わらない
水は躍動して活きている
水は絶えず流動する力である
水は時に津波となり河に押し寄せる
陸に押し寄せて街をのみこむ
ノワの方舟を浮かべる水の力なり
津浪の恐怖は人々にその恐怖を植えつける
水は常に生々流動してとどまらない
海は老いることなく水は老いることがない
船は波にゆられ旅人も波にゆられる
その心はいつも波にゆられている
真っ赤なハイビスカスが咲き朝の見晴らす大洋よ
新たな島にまた船でわたる
海は常に未知の世界へ誘う
島には異国の船が漂着する
それが伝説となるも海の成せる業
水平線を望めば船影が見える
海より湧くように千の船が浮かぶ
海は陸のように跡を遺さない
海底深く船の残骸を沈めるも
その宝も沈みし船は幻なりしを
波は高鳴り潮は流れやまず
帆は風を受けて船を進める
かなた波にゆられて未知なる国へ
鳥が翼を休めるは一時なり
マストにとまる海鳥よ
望むは大海と島と船なり
絶えず生々流動する水よ
それは人間の心でもある
深き入江は休息の港
船のごとそこにしばし心を休める
しかしまた船は港を去り大海に出る
朝日は輝き上り海は船を迎える
波にゆられ心もゆられて
旅の日は終わらず探検の日はつづく
旅人は常に新たな島を地を踏む
そこに知られざる花を見て人の生業を見る
沖縄の遠き小島のあわれかな
井戸の水は枯れて村は移りぬ
島は外部との交流なしでは生きられない
島と島を船が結ぶ
水は激しく流動してやまない
河はまた大地を穏やかに流れて
人と人を街と街を結ぶ
河は文明を作り海は島々を国々を結ぶ
海を制するものは陸をも制す
シーパワーにランドパワーよ
世界の雌雄は海で決する
ギリシャはペルシャ帝国に船団を編成して勝つ
七つの海を支配しイギリスの栄あり
陸の帝国は万里長城を作り国境を作る
そのために中国人民は莫大な労役にあえぐ
海には国境は作れない,海は自由に航行する世界の道
だから光りあれの次は水のあれになる
最初に水が地球をおおうなりしを
躍動する水よ,衰える知らぬ水よ,循環する水よ
地球は水のめぐり活きるなり
陸は老いても海は老いることはない
水は万物を浄化する奇跡であり
海は常に若々しく荒々しく陸に対峙する
人間の歴史をふりかえると陸を中心に展開されてきた,エジプト文明がそうである。陸の文明は川と一体となり作られたのである。エジプト文明はナイルの賜物というときそうである。ナイル河なくしてエジプト文明はありえなかったのである。
ただエジプト文明は地中海があっても海には広く乗り出さなかった,陸にとどまったのである。レバノン杉とか利用するためにその辺までは進出したが地中海の航海はしなかったのである。
人間の歴史は陸を中心に長く展開されたのである。海に乗り出す船の技術がなかったからである。ただ地中海がありそこが船の技術を発展させた,そこは海なのだけど大洋とか大西洋とは違う内海だったからである。それが航海の技術を発展させたのである。
それでギリシャは最初の海洋国家ともなった,ローマとか対岸の中東にも植民都市をもったからである。そこからギリシャのコインが発見されるからである。
イタリアのナポリとかフランスのニースでも新しい都市というギリシャの植民都市の名である,ギリシャ語なのである。そしてギリシャは陸の最大帝国ペルシャと戦争して勝った
それは船団を利用して勝ったから海洋国家として陸の帝国に最初に勝ったとなる
ギリシャはまた島が多いから島を結ぶ航海に適していたのである。
それからローマ帝国に対抗したカルタゴも海洋都市国家であり軍港があり船の技術でローマに抵抗したのである。ローマは陸の帝国だが地中海に進出したからカルタゴと争うようになった
ランドパワーというとき中国でもそうである。万里長城を作らねば敵に攻め入れられると国境を作るために莫大な労力を費やしたのである。
ランドパワーを維持するためにはそれだけのエネルギーが必要だったのである。
そこでエネルギーが消耗してしまうのである。
地中海ではベネチアなどの都市国家が栄えたのもシーパアーがあったからである。
ランドパワーの歴史がつづいてもシーパアーの力もあったのがヨーロッパだった
バイキングなども貿易もしていたとういからシーパアーの力をもっていたのである。
ただ野蛮的なものではなく貿易をしていたからそれだけの国ではなかったのである。
その後もやはりランドーパワーの戦いだった,ナボレンでもそうだし第二次世界大戦はやはりランドパワーの戦いだった,ただ太平洋戦争というようにその時アメリカはシーパワーの国となり日本に勝ったのである。
大航海時代からすでにシーパアーは地中海によって養われていた,そしてコロンブスが新大陸のアメリカを発見したのである。
イギリスが七つの海を支配するというときもシーパアーによっていた
日本の歴史をふりかえっても邪馬台国がどこにあったかというと九州や奈良説があるがやはりそれも地理が関係していたのである。
瀬戸内海は地中海とにていたから船の交通があったからである。
ただ不思議なのは大阪から奈良の盆地に都が作られたことである。
そこでは三輪山が御神体になる山の文化となったのである。それが日本的な特殊性だとなる
明治維新でも薩摩とか長州とかが主導権をにぎったのはやはりシーパアーでもあった
薩摩は中国ともすでに貿易していたのである。
海外の進出も九州とか瀬戸内海とかを中心に展開されたからである。
だから会津となると山国でありそうした地の利がない
幕府でもやはりランドパワーに依存していたのである。
坂本竜馬が海援隊を組織して会社のようなものを作り商船をもった
そういうことは会津などではしにくいからである。
東北はランドパワーでありシーパアーをもち得なかったのである。
江戸幕府も船をもったが遅れたのである。
いづれにしろランドパワーの国は河が交通路となり文明を築く,エジプトはナイル河があり中国は黄河があり揚子江がありヨーロッパでは大きな河が交通路になり結ばれて発展する,河が人々を結ぶ,封建制の王権に対してもハンザ同盟とか商人都市国家を形成したのである。それは河で結ばれていたからである。
世界史でも日本史でもどうしても歴史をみるとき地理がわからないと根本的なことがわからないのである。世界となると広すぎるから日本的感覚では理解できないものとなる
砂漠はないし大草原はないから交通の果たす役割が理解できないのである。
シルクロードとなると長大な道だけどそれも砂漠とか草原を通るから自然の道があるから生まれたとなる,ランドパワーは陸の道から形成されたのである。
でもシーパアーの時代になったとき過去のものとなったのである。
日本の謎は海に囲まれていてもヨーロッパのようにシーパアーが発展しなかった
そして不思議なのは山が多いから大和(やまと)というとき山の国から起きたとなる
海に囲まれていても山の国となったのである。
海に囲まれていても太平洋と地中海ではまるで違ったものだったからである。
ただ韓国とか中国とかの交流は古代から行われていたのである。
その後日本が鎖国したのはなぜかなとる,シーパアーとして発展しなかった
それは山国ということもありそれが影響したのかもしれない
海を渡って貿易するというシーパアー国になりえなかった
日本は山が多く盆地のように閉ざされてしまうこともある,海に囲まれていても精神的にもそうなりやすいともなる
日本は平原とかがないから大きな河もないし交流が山でさえぎられ阻まれるのである。
そうなると大きな統一国家を作ることが困難になる
それで面白い指摘は蝦夷国家襞日高見国家が形成されなかったのは日本海側の新潟県とか秋田県とかが山にさえぎられて交流できず大きな国家形成ができなかったためだというのもそうなのかとなる
福島県は阿武隈山脈がありこれは低いにしても福島市とか中通りとはばまれる
それでかえって地理的には仙台に近く交流も活発になるのである。
交通でも便利だからそうなる
人間社会は歴史でも地理的影響が大きくそれで歴史も決まるともなる
伊達政宗は東北ではめずらしく海に展望を求めた,家康に対抗するためにスペインに船を派遣したからである。そういう発想はなかなか東北ではできない,ただ宮城県は良港が多いからそういうことができたのも地理である
福島県にはそうした大きな港はないからである。入江とか島がないからである。
ともかく水の力は驚異的である。それが津浪で実証された,ノアの方舟もありえると実証された,それだけ水は地球を作ったとなるのである。
船の旅は日本で相当にした,東京から沖縄まで行ったのが一番長かった
貨物船のような船で一週間かかった,その時飯食べるのが楽しみであり飽きた
だから世界一周とかの船旅があるが飽きる,だから食べ物が良くないとまた飽きる
同じようなものを食べていると飽きるのである。
この船旅もまた時間の余裕がないとできない,この世の中金だけあってもできないことが相当ある,会社員だと時間がとれないのである。
自分の場合は時間だけはあった,だから旅しつづけたのである。
外国は五十才から行ったから遅かった,でも地中海を船で行った時は気持ち良かったのである。今はいろいろ旅を回想するだけである。
日本は島が多いから島を船でわたる旅は楽しいとなる,それは沖縄が船旅を楽しむにはいいとなる,日本は島国だけど旅するには変化があるからあきないのである。