2015年01月23日

山の村の幽霊屋敷(童話)


山の村の幽霊屋敷

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......一軒目の空家......

 そこは山の村であり市の中心部から大分離れている。確かに中心部の市街には鉄道が通っているし海がそこからは近い。ここはずっと海からも市の中心部からも離れている。
 山側にありここはそれでも古い場所である。早くから開拓された場所である。
 ここでの暮らしは戦前から戦後十年は日本全国どこでも同じような暮らしをしていた。
 山の木で炭を作り薪を燃料にしていて水は井戸水でありほぼ自給自足の生活である。
 第一市までは遠いし車もない時代である。市に買い物にゆくこと自体まれだった。
 その村のすぐ山のそばに一軒の古い家がある。
 そこを訪ねる者があった。
 「佐藤さんの家は古いでしょうか」
 「家系的にはこの辺で一番古いかもしれません」
 「がらんとして何か淋しいですね」
 「一人暮らしもなげえよな、息子は市役所に勤めているんですよ、もう一緒に住まないし農家の跡を継ぎやしませんよ」
 「猫を飼っているんですか」
 「猫は友達だよ」
 「わびしいですね」
 外には家がぽつりぽつりとあるが回りは田んぼであり冬なので特に淋しい風景である。
 それでも静かでそれなりにいい場所である。冬の日がおだやかにさしている。
 「ここでの暮らしも大変だったでしょう」
 「いろひいーありましたな、戦争終わったときは食うものがねえ
 それで猿を食ったんですよ」
 「ええ、猿を食ったんですか、なんかアマゾン辺りで裸で暮らす人が猿を焼いて食っていたのをテレビで見てびっくりしましたが・・・・」
 「猿のノウミソはうまい・・・」
 「ちょっと考えられませんが猿はよくこの辺では山からでてくるのを見ています」
 「イノシシもしょっちゅう出てきますよ」
 ここだったら確かにすぐうしろが山だからイノシシでも猿でも出てきても不思議ではないと思った。竹藪が川沿いにありそれは土手の補強にあった。
 竹は強く根をはるので川の土手に植えているのが多い。
 「跡継ぎがいないことは淋しいですね」
 「これもどうにもならん、世の中変わってしまったんだ、農業は機械に金かかるしな
 他の田んぼを請け負って米を作ったりしていたがなかなか金にはならんんですから」
 「農業が大変なのはどこでもそうですね」
 「この村ではすでに三軒空家になっていますよ」
 「空家はどこでも多くなっていますが・・・ここでもそうですか
 そろそろおいとましましょう」
 「あなたはどちらからきたのですか」
 「隣の町ですよ」
 「そんな近くからでしたか・・・」
訪ねた人が去ったあとには実はその家は空屋であり誰も住んでいなかった。
死んだ人と話ししたことも知らないでその人は去ったのである。
 
 .....幽霊屋敷を訪ねる.......

 
 その家を訪ねたものは去りその家を出て細い道を行くと杉の木が二本立っている。
 それがなんとも普通の木とは違う、その影が細い道にのびてさえぎる。
 何か人をとどめるようにさえぎる。
 するとそこに廃屋となった農家が確かにある。それがいつ人が住まなくなったのかわからないが大分時間がたっていて放置されたままになっている。空家ではなく廃屋である。それは本当に幽霊屋敷に見えるのだ。あういうふうになるのはやはり相当な時間がたたないとならないだろう。
 その作りは昔風のまである。外に便所があり風呂まであり外に井戸がある。
 それはみんな昔そうだったのである。その配置が昔のままであり放置されている。
 こっそりと隣の町から来た人はのぞいてみる。
 すると風呂は立派である、煉瓦作りの五右衛門風呂になっている。
 煉瓦だということが珍しいしこの家はそれなりに裕福だったのかもしれない。
 煉瓦ということは職人も必要だし作るのにめんどうだからである。
 遠くの市の職人がかかわって作ったのかもしれない。すると余計に金がかかることになるからこの風呂にひかれた。
 
 そこから家の中をのぞくと戸があいていて炬燵が置いてあり柱時計がありとまっている
 炬燵がここにあるということは電気のをすでに使っていたのか、下は囲炉裏風になっていて炭だったかもしれない。ただ囲炉裏ではない、なぜならそんなに時間はたっていないから電気を使った炬燵である。

 「いらしゃいませ」
その時びっくりした、奥からのっそりと白髪のおばあちゃんがでてきたのである。
「よごれていますけど炬燵に入れや」
「いいですか、なんか人がいないと思い入ってきたので失礼しました」
「人が来てくれてにぎやかになりいいですよ、なにしろ家というのは人が住まないと人の声が家にひびかないと死んだようになるから」
「あの煉瓦の風呂は立派ですね」
「まあ、あれはいい風呂だった、職人をわざわざ市から呼んで作ったんじゃ
あの風呂に入ったときは疲れはとんだな」
「自分も子供のころ、外に風呂があったんです、その風呂は自分の父親が作った小屋の風呂でした。鉄砲風呂で子供のとき新聞紙とかたきつけにしてバタで燃やしていたんですよ」
「あなたはどこにお住まいで」
「隣の町ですよ」
「それは近いそこはなじみです」
「ところでおばあちゃんは何歳ですか」
「わしか、百歳じゃよ」
「ああ、そうですか、自分の母もその年に近いですが・・・・」
「まあ、今はみんな長生きじゃよ」
「でもこんな立派な煉瓦の風呂はみかけなかったですね」
「まあ、お茶飲んでゆっくりしなされ」
「今日はゆっくりもできません、街の方に買い物があるんで」
「そうかい、それは残念じゃな・・・・」
その時またすーとその白髪のばあちゃんは消えてしまった。
あれどこに行ったのかと思うともう見えなくなっていた。
ただ幽霊のように消えた。
その家全体が今でも残っているけど本当に幽霊屋敷であり空家とは全然違うのが不思議である。つまり幽霊が本当に棲みついたような家になっているのだ。
なぜそうなってしまったのか?
長い年月放置されていたためなのか、それが不思議だった。
一つはその家を離れたくない人の霊が感じられるからかもしれない
だからこそ幽霊となってもそこに人が住み続けているのである。
そこを出ると野原に一本のこれも幽霊じみた一本の老木がくねり長い枝を伸ばして濃い影をおとしていた。
そこに根付いてから相当に長い木である。
そういう木は老人と同じでその土地を離れたくない、そこで朽ちてその土となってゆく。人間もまた生物だから木のように老いてゆくと何てゆくのが自然である。
隣の町から来た人はこうして二つの人が住まなくなった空家と廃屋をあとにして街の方に去った。

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posted by 老鶯 at 15:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 童話