2014年03月22日

梅の香、椿 (故郷は自然だけではない人が関係している)


梅の香、椿

(故郷は自然だけではない人が関係している)

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ここは原町のキクチスーパーの近くだから身近である
でも実際にここで香りを感じたのははじめてだった


春の日や猫と吾も眠りて我が家かな

故郷のここにあまたの梅の花知らじや香りに満たされにけり
梅の香の尽きず流れむ我が里に老いしもここに香り満ちなむ
我が里に手折りし椿壺に挿しその色赤くあたたかく映ゆ

春日さし沖に船ゆく高台に我が望めば旅心湧く

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川子の高台はビューポイントである。
船に春の日がさしていつもより明るく映えていた


望郷の詩人だった啄木の不孝は何だったのか?
津波や原発で故郷は何か見直されたということは言える
まず故郷を離れる故郷がなくなるなどと想像すらできなかった
故郷は当たり前にあるものなのである

ただ啄木の場合は故郷はあったが故郷から離れて故郷を想った。
それが病気とかさなり痛切なものとなった。
ただあの若さでそうした故郷の思いが自然と一体化したことは
それだけ天才的感受性が早熟してあった

自分なんかどうしても短歌など作り始めてもただ575とか並べただけだった
自然に関してもあんな深い感受性がもてない、
極めて浅薄なものにしかならなかったからどうしてあれだけの感受性をもてたのか

思うに自然は本当は時間をかけないと深く感じることはできない
だからかえって長い時間をかけて自然に接していれば深く感じるようになる
それは才能とはほとんど関係ないのである
時間によって自ずと成熟してくるものがあるのだ


東京でそうした故郷の風景がありありと思い浮かんだことは
やはり自然への感受性を若い時から備えていたからできた。
普通は若い時は故郷であれ底かいかに
美しくても感じなければどこにいようと同じなのである。

故郷とは何か問うこと自体こんな災害がなければそんなになかった
なぜなら故郷は当たり前に普通にあるものだったからである。

故郷の良さはあまりにも当たり前にあるからわからないし未だに発見されていない

今日は春らしい春だった。そこでキクチスーパーに行く所の田んぼの脇に森があり
そこに一杯梅の花が咲いていた。
あそこにあんなに梅が咲いていたと気づいたのははじめてである。
それはいつも行っている身近な場所だけど
あんなに咲いている見たのは今日がはじめてだった
そしてその梅の香りに満たされたのだ

ただ春といっても春田がないというのも不自然である。
そういう不自然ななかにも梅は春を告げた。
梅は見るよりやはり香りである。

つくづく故郷と言ってもいい場所があってもわからない
ただ発見されていなかったのである。

故郷は何かというときこれはただ自然だけではない
自然だけだったら今回の津波のように自然は非情である
美はあっても非情である
故郷が故郷であるためにはそこが家族の愛に育まれた所であり
故郷の人の愛に育まれた所であればそれが故郷となる
冷たい非情な人ばかり住んでいたらそこには誰も住みたくないだろう。

現代は田舎でも金の世の中になり非情になってしまった
それをこの七年間の介護や病気で自ら身に受けて知ったのである。

つまり椿の花は別にどこの村でも市でも郊外には咲いている。
それを手折り挿すのは誰でもする。
でもその椿は単なる自然ではなく人の心も反映されている
恋愛でなくてもあたたかい心がその椿から感じる時
それは人間のあたたかみを感じているのだ
だから俳句とか短歌はそうした人の心が反映されているから
単なる写生でも自然そのものではないのである。


ともかく一体故郷を離れる故郷を失うということは何なのか?
それは自然だけの問題ではない
別に自然が全部壊滅したわけではない
海は別に残っているし山もある
ただ人の住む所が壊滅して荒寥となってしまった
そこには人の温かみもあったのだかそれが喪失した
ちょうど現代は金持ちの家でも愛のない家族のようになっているかもしれない
金だけが唯一の価値となり愛し合わないということがある
それは原発避難民に対して金でもめていると同じである。
金をもっているが故にかえってとがめられているのである。

それはまさに別に津波がなくても自分のこの7年間の経験であった
そこには人のあたたかみもない非情さがあった
それは自然だけではない人の世にもあったのだ

ただ啄木の場合は別に故郷の人が冷たいということでもなかった
その事情は複雑にしてもそれは独りよがりのところがあった
要するに若気の至りということでもあった
だから何か一方的なもの独りよがりのものとなっていたのである。


探梅という季語があるけどやはり梅にしてもいろいろな場所に咲いているから
故郷でもわからない所があったとういことである。
すぐ街の近くに梅林があったことが意外だったのである。