2011年12月19日

なつかしい昔の道 (原発事故で途切れた街道)-詩




なつかしい昔の道

(原発事故で途切れた街道)-詩

人は歩いていた
常に歩いていた
一すじつづく街道を歩いていた
松並木に風が鳴り
道の辺に野の花が咲いていた
季節の変わる度に
犬ふぐりや月見草やあざみや野菊
細い街道を歩いていた
茅葺きの家や石置き屋根の家
貧しい街道の家並み
人は行き来し歩いていた
その歩いている人の姿がなつかしい
ひよいと昔の人が話しかける
旅は道連れ、長い旅
分去で分かれを惜しむ道
その人とは二度と会わなかった
人と人が出会い分かれる道
今この街道にたたずみ
昔の人の歩く姿が見える
この道に昔歩いた人達の記憶がしみこんでいる
時雨がふれば淋しい旅人が去ってゆく
山頭火の後ろ姿が消えてゆく
その風景が心にしみる
昔の人がなつかしんでその道を歩いている
馬頭観世音の碑
馬とともにも歩いていた
馬の名前を呼んで歩いていた
馬は家族の一員であった
だから曲屋で一緒に寝た
ああ 人の歩く姿がなつかしい
当たり前のことが当たり前なくなる
便利さを求めて何かを失った
大きなものを失った
豊かさを求めて心を失った
日本の素朴な風景は消えた
歩く姿も消えた
車は無謀に突っ走してゆく
眼中に人はない
人は邪魔なだけ
早く早く過ぎ去ってゆくだけ
そうして人は何か大事なものを失った
遂に原発事故で道は途切れた
その道はいつ回復するのだろう
人はばらばらになり道は途絶えた
大阪や東京のアパ-トやら団地やら
故郷を離れてばらばらになった
陸前浜街道はとぎれた
道を通じて人間も通じていた
それが離散してばらばらになった
道はいつ通じるのか
故郷にいつ帰れるのか
それはすでに遠い道のりだ
もう今年も暮れようとしている


 

posted by 老鶯 at 19:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 福島原発事故関連